第十三回 『武村正義さんのこと』
長年の同志であった武村正義元新党さきがけ代表が、9月28日に亡くなった。私より6才年上の88才、米寿の年であった。
彼のことを語れば一冊の本になってしまうが、まずは私が彼を信頼していた最も大きな理由を語っておきたい。
それは何よりも彼の支持者の質の高さであった。
政治家をみこしとすれば、その支持者はみこしの担ぎ手。担ぎ手が悪ければ、極上のみこしも変な方向に持っていかれてしまう。
逆に、担ぎ手が良ければ、多少粗末なみこしでも、与えられた役割をしっかりと果たすことができる。
武村さんの場合は、周りで手足となる秘書の人たちや、地元後援会の人たちが実に真剣に武村さんを支え続けた。特に草花会という女性の後援会は強力で、武村さんはよく「草花会の人におこられないように」と口にした。
武村さんが政界で一級の役割を果たしたのは彼の資質や努力もさることながら、良質な支持者に支えられたからだと私は感じている。
武村さんとは7月9日に大津で会う約束をしていた。彼もそれを楽しみにしてくれていたが、私は強烈な足の痛みに襲われ変更せざるを得なかった、翌週私は手術を受けたのだが、治ったら会おうという約束も果たせなかったのが残念至極である。あらためて皆さんと彼の御冥福を祈りたい。
2022.10.26